古 典 館
(拓本)
古典について
中国書の歴史は,三千五百年に及んでいます。古典の古典たるゆえんは,その書きぶりが他の時代とは異なった,その時代独特の雰囲気を最もよく表現しているところにあります。
そうした歴史の中に残された古典とは,その時代にその言葉が書かれる上で,その時代の人々の在り方や心情に最もふさわしい書かれ方がされたものであり,したがってその時代の雰囲気を最も濃厚に身にまとっているということができます。古典とはその時代を代表する書作品なのです。
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甲骨文
(こうこつぶん)(紀元前20〜11世紀)
殷人は、亀甲や牛骨の裏面に溝を彫り、占うのです。
甲骨文字は直線的で字形は簡潔ですが、垂線を強く意識した緊張感のあふれた造形です。
金文
(きんぶん) (西周)
周の頃の金文のひとつで、青銅の利器が盛んに作られ、それに文字が彫り込まれたものです。文字の曲線のうねりは、まるで鉛の棒を捻じ曲げたような、大らかな文字です。
石鼓文
(せっこぶん) (紀元前403)
古代中国の楽器の太鼓の形に加工した石の表面に、刻まれた篆書文字です。大篆(だいてん)と言われるこの書は、緊密な造形美をそなえています。
散氏盤
(さんしばん)(周)
殷につづく周という時代で、数多い青銅器には、さかんにこの金文が彫りこまれています。
鉛の棒を捻じ曲げたような文字です。
開通褒斜道刻石
(かいつうほうやどうこくせき)後漢
均一な字画が岩紋と字画が溶け合い美しい刻石です。外気に触れる岩肌に刻られ、摩崖(まがい)書と呼びます。隷書体が美しい姿で完成する、古隷と呼ばれるものです。
石門頌
(せきもんしょう)(後漢148)
石門道(せきもんどう)の内壁に刻まれた摩崖碑です。
隷書の典型である八分にみえる大らかな趣が特徴です。、 隷書特有の横長の形式と美しさを示しています。
高貞碑
(こうていひ) 北魏(523)
北魏の碑刻の中で最も洗練された代表的な作といえます。がっちりとまとまりよく書かれ、生き生きとした線条は楷書の手本に最適です。
集字聖教序
(しゅうじしょうぎょうじょ)(672)
集字聖教序の集字というのは、集王義之行書の略です。
王義之の真跡から懐仁(えにん)という坊さんが文字を集め、精密に写し石に刻した碑が残っています。